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第十二話 ②

Auteur: 上守葉
last update Dernière mise à jour: 2026-02-24 21:00:52

 十年と、少し前のことだ。

 雨が降り、舞い上がった雪が霧のようにけぶる日に、そこだけ花が咲いているかのように真っ赤な男が倒れていた。

 一瞬俺は、その赤さに驚いて怖気づいて、どうせもう死んでると決めつけて、逃げようとした。

 けれど、その人が持っていた白銀の刀を見て──その刀がてのひらの皮膚に凍りついているのを見て、どうしてか「あの人に触れなければいけない」と思った。

 流れ出る血液の湯気が不気味で、呼吸をしているのかも分からない血まみれの男。

 その赤い血もざぁざぁと降る雨に流されて、土に混じって泥になろうとしていた。

 雨除けの外套はすっかり油が落ちているのか少しも水を弾かず、身体に張り付いている。

 嗚呼あぁあの人は、このままでは死んでしまう。

 そう思って、俺はドキドキとしながらその人に近付いた。

 意識があるのかは、よくわからない。

 わずかに吐き出す呼気がほんの少しだけ白く濁ったのを見て、生きているのだと理解する。

 けれどその表情が
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